猫の口内炎 3 宮田のエッセイ館

猫の口内炎
猫の口内炎 3

 Iさん一家は去勢済のオス猫を飼っている。猫は家族の布団に潜り込んで寝るのだが、寝ている最中に臭(くさ)いよだれを垂らすようになった。よだれは一晩で直径10~15cmの滲みをシーツに作り、強烈な悪臭を放った。毎朝のシーツ洗濯がIさんの日課になった。雨の日は部屋にストーブをつけて洗濯したシーツを干していた。

 ある日、Iさんは家事をしている最中、自分に纏(まと)わりついている嫌な臭いを感じた。鼻をクンクンさせて臭いの元を探ったら、左の袖に悪臭の元があった。猫を抱いた時、猫の口が服の袖に触れてよだれが付着したのだ。以来、用心して猫を抱くようになった。

 Iさんの家で「猫の悪臭よだれシーツ」と格闘する日々が、かれこれ1年経とうとした頃、猫がもっと臭くなった。左耳から異臭が発し始めたのだ。猫が部屋に入ってくると独特の匂いですぐに分かった。家族の誰かが言う。

「臭いね、あいつ(猫)が部屋にいるでしょ」

 部屋を見回すとやっぱり犯人のあいつがいた。そのうち猫は家族から、

「臭い、臭い」

 と言われて、家の外に出されるようになった。家のなかが恋しい猫は、家族のすきを突いて家に入り込む。すると家族から、

「臭い、臭い」

 と言われて外に出される。しだいに、猫は「臭い」と言われるだけで、いじけたような表情になり、家族の目が届かない所に自らトボトボと行くようになった。猫は後ろ足で耳を気にするしぐさをした。かつて家族の布団に潜り込んで寝ていた猫は、夜になると必ず家の外に出された。可愛いけれども厄介者になりつつある猫が可哀想に思えて、Iさんは治療の目的で猫を当院に連れてきた。

 猫の耳の臭みは細菌感染が原因だった。抗生剤の治療で耳の臭みは激減した。同時に口の臭みが少なくなった。以後、宮田サプリだけを2ヶ月間与えた。Iさんは猫が治ったと思い、宮田サプリの投与を止めた。

 最初の治療から6ヶ月後、猫は耳の悪臭とよだれの悪臭のために来院した。以前と同じ状態に戻ってしまったのだ。検査をしたらFIV抗体陽性であった。前回と同じ治療をすると猫の状態は改善した。以降、Iさんは宮田サプリを猫に毎日与えるようにした。

 それから約1年経過した。Iさんは言った。

「何かの都合で宮田サプリを3~4日間与えないと、猫の耳が臭くなって耳ダレが出てきます。臭いよだれも出て来るようになります。あっ、いけない!と思って宮田サプリを毎日与えると、数日で耳の臭みと耳ダレがなくなり、臭いよだれも出なくなります。家族の誰も臭いって言わないので、猫は大きな顔をして家でくつろいでいます。私も毎日のシーツ洗いから開放されて楽になりました。宮田サプリは1ヶ月分2千円ですから安いものです」

 

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