猫の口内炎 2 宮田のエッセイ館

猫の口内炎
猫の口内炎 2

 Kさんの猫は10歳の時に口内炎で来院。この猫にとって口内炎の治療は初めてだった。その1年6ヶ月後に口内炎で来院。ここまでは治療によく反応した。しかし、この2ヶ月後に来院してからは、途端に治療効果が上がりにくくなった。検査したら猫エイズに感染していた。全顎抜歯を提案したが、飼い主は大事(おおごと)にしたくなさそうだった。エサをほとんど食べなくなった猫に、宮田サプリだけを与えてもらった。数日後から猫はエサを食べるようになった。

「食べるようになったんです」

 と言った時、Kさんは嬉しそうに微笑んでいた。私がしばらく見ていなかったKさんの笑顔だった。

 宮田サプリを与えてから一ヵ月半の間猫は安定して食べていたが、その後、口の痛みの再燃に加えて衰弱が激しくなり、飼い主の希望で猫は安楽死となった。宮田サプリをエイズ猫の口内炎に試した最初の症例であり、もっと早くから宮田サプリを与えればよかったのだろうか、と考えさせられた症例であった。

 

 Oさんは乗合の釣り船屋さんを営んでいる。海辺にある釣り船小屋の近くで、彼はノラ猫数匹の面倒を見ている。猫を連れて来院する時は決まって、

「すいませんねー」

 と、黒く日焼けした顔に白い歯がのぞく笑顔でやってくる。いつも済まなそうに来院するのは、ノラ猫の世話をしている後ろめたさがあるようだ。

 しかし、私にとって飼い主の背景は関係ない。来院した飼い主が常識的な態度と常識的な言葉使いで対応し、診察料金をきちんと全額支払って頂ければ、飼い主がどこで何をしていようと関係ない。飼い主の肩書きも関係ないし、連れてこられた猫がノラ、雑種、エイズ持ち、血統証付などのどれであっても一切関係ない。

 さて、Oさんが世話をしている数匹のノラ猫のうち、口内炎のためにエサを食べられなくなった3匹に宮田サプリを加えた治療を開始した。それらの経過は以下の通り。

 

 猫 1.

 歯を4本抜歯して宮田サプリを2ヶ月間のみ与える。抜歯後エサを普通に食べる状態が1年間続いていた。Oさんは、この時の猫 1の状態を「治った」と表現していた。その後口の痛みが見られるようになり宮田サプリを毎日与え始めた。現在、2~3週間に1回程度口の痛みが再燃するので、抗生剤とプレドニゾロンの内服薬を頓服的に2~3日与える。そうすると宮田サプリを与えているだけで2~3週間はよく食べる。最初の治療から2年経過している。抜歯箇所以外の歯周歯肉にまんべんなく炎症があるので、将来的に全顎抜歯が必要になるかもしれない。現在推定3歳。FIV(猫エイズ)抗体陽性。

 

 猫 2.

 FIV抗体陽性。宮田サプリを加えた口内炎の治療を始めた。治療を開始した約1年後に死亡。この一年間はエサを食べていた。治療開始時に一回診察しただけなので経過の詳細は不明。死亡時の年齢は推定7~8歳。

 

 猫 3.

 猫が口の痛みでエサを食べにくそうな動作を見せ始めた時、抗生剤とプレドニゾロンの内服を与える。与える期間は1~2日。内服と内服の間隔は約1週間。つまり、1週間は内服を与えなくても食べている。宮田サプリは毎日与えている。この状態が1年3ヶ月続いている。現在推定10~11歳。FIV抗体は検査していない。

 Oさんは、過去にも口内炎の症状を呈するノラ猫が死に至るまでの様子を見てきた。それらは、猫 2を含めて合計3匹である。経験者Oさんは、

「宮田サプリは確かに効いていると思います。猫 2にも効いていた感触はあります。宮田サプリを与えていなければ、(上記の)猫 3は食わなくなって今頃死んでいたんじゃないですかね」

 と、海の男らしい大きな声で言った。

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