賀詞交換会 3 宮田のエッセイ館

賀詞交換会
賀詞交換会 3

 この日の宴席は、横須賀三浦獣医師会という団体の賀詞交換会であった。横須賀市の保健所長K氏と話をする少し前、私はこの団体を代表する者として、冒頭に新年の挨拶をしていた。

「明けましておめでとうございます」

 私は聴衆に向かって深々と礼をした。聴衆は約50名。引き続き行われる宴席が立食形式。それ故、立っている聴衆全員の目が演壇の私に集中した。

 ここ数年、私は、様々な団体の賀詞交換会に出席する機会が多くなった。幾つも出席して分かったのは、賀詞交換会で語られる挨拶を、多くの聴衆がまともに聞いていないということであった。挨拶を聞いているように見える聴衆は、実は「早く挨拶が終わんないかな~、早くビールが飲みたいな~」と思いながら、聞いているふりをしているのである。聴衆は挨拶の内容をほとんど覚えていない。彼らが最もよく覚えているのは、せいぜい「長かった~」と嘆息交じりに語る挨拶の長さである。

 

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